初心者でも簡単！水耕栽培で始めるキッチンガーデンの基本ガイド

新鮮な野菜やハーブを収穫する喜びと鑑賞する楽しさの両方が味わえる「キッチンガーデン」。土を使わず、室内で手軽に始められる水耕栽培は、キッチンガーデン初心者にもぴったり！本記事では、キッチンやリビングで楽しむ水耕栽培の成功のコツをご紹介します。

Text：HAL-Mam／Photo：編集部

そもそもキッチンガーデンとは？

キッチンガーデンとは、お料理を彩る野菜やハーブを育てながら、「新鮮な食材を収穫する喜び」と「インテリアとして鑑賞する楽しさ」の両方を味わえる、家庭菜園のひとつです。

ベランダやお庭でプランター栽培している野菜を、必要な分だけ摘み取って使ったり、キッチンカウンターやテーブルの上でハーブを育てながら、フレッシュなまま料理に取り入れて新鮮な香りや味を楽しんだり。

そんな日常が実現できるキッチンガーデンは、心をとても豊かにしてくれます。さらに、鉢やプランターのデザインにこだわると「鑑賞する楽しみ」もアップ。水やりやお手入れの時間がますます充実して、初心者でも続けやすいのが魅力です。

家庭菜園にはいろいろなスタイルがあり、シェア畑を借りて本格的に土いじりを楽しんでいる人も多いですよね。TSUCHILLの記事やSNSでそうした様子を見て「素敵だな」と思いつつも、気軽に始めるにはハードルが高いと感じている人もいるのではないでしょうか。

実は私自身も、TSUCHILLメンバーであるにもかかわらず、最初の一歩を踏み出せずにいました。しかし、シェア畑デビューの前に少しでも栽培を楽しみたいと思い、軽い気持ちで始めたのが「キッチンガーデン」です。

キッチンガーデンの最大の魅力は、やはり収穫できること。バジルやスプラウトなど、種まきから比較的短期間でキッチンに並べられるものも多く、日々の成長を見られるのも楽しいポイントです。

加えて、インテリアプランツとしての彩りは想像以上に豊かで、飽きることなく続けられます。また、新鮮で安心な野菜を摘み取ってすぐ料理に使えるのも嬉しいところ。

買ったハーブや薬味が余ることがあっても、キッチンガーデンなら必要な分だけを収穫できるので無駄がありません。そんなちょっとエシカルなライフスタイルを実感できるのも、私にとっては大きな魅力でした。

水耕栽培のメリットとは？

キッチンガーデンには主に2種類の栽培方法があります。ひとつは土を利用して植物を育てる「土耕栽培」、もうひとつは土を使わず水や培養液（液体肥料）を活用する「水耕栽培」です。

水耕栽培の中にもいくつかスタイルがあり、LED水耕栽培キットで育てる方法、培地に種をまいてネットポットを入れた水耕容器で育てる方法、またはキャベツやねぎの切れ端を捨てずに再生させるリボベジ（再生野菜）に挑戦するのも楽しいです。

本記事では、土ではなく、水や培養液を使う方式「水耕栽培」のメリットについて解説します。

水耕栽培は土を使わないので、キッチンまわりや室内などの限られたスペースでも手軽に始めることができます。

土耕栽培の場合は土から虫や病原菌が発生するリスクもありますが、水耕栽培ならその心配もありません。手間といえば水を変えることくらいで、土汚れもなし。

インテリアプランツとして気軽にキッチンやリビングに飾れることも魅力のひとつです。

また、必要な栄養を水から直接吸収できるため、土耕栽培よりも成長が早い傾向があります。野菜やハーブを短期間で収穫でき、育てる喜びを実感しやすいのも、家庭菜園初心者にとっては大きなメリットだと思います。

水耕栽培には水耕ガラスや水耕プレートを使う方法など、いくつかのスタイルがありますが、私が最も初心者向きだと思うのはLED水耕栽培キットを使う方法です。

なぜ初心者向きかと言うと、とにかく楽だから！私が持っているキットには培地もセットされているので、種をまいて水と培養液を入れて運転ボタンを押すだけ。

水は自動で循環してくれるし、LEDライトは照射時間を設定できるので、とても管理しやすい点が魅力です。導入コストはちょっとだけかかりますが（１万円前後〜）、「水耕栽培でキッチンガーデンデビューしたい！」という周囲の友人には、「メーカーのまわし者？」って勘違いされるくらいの勢いで、推奨してきました（笑）。

水耕栽培のデメリットとは？

水耕栽培のデメリットを私なりに考えてみましたが、あまり見当たりません。LED水耕栽培キットで育てる場合は導入コストがかかることや、電気代がかかること…くらいでしょうか。

とは言え、土耕栽培でも腐葉土や肥料を購入するわけで一定のコストがかかります。費用面をデメリットと考えて水耕栽培を諦める人は少ないのではないでしょうか。

そんなことよりも、水耕栽培ですくすくと育つ野菜やハーブの成長を観ていると、まるで我が子のように感じてきて、ふつふつと愛着がわいてきます。

丹精を込めて育てた野菜やハーブを収穫して、おいしくいただく喜び。水耕栽培にメリットはあっても、デメリットはないというのが私の感想です。

水耕栽培に必要な道具と基本ステップ

キッチンガーデンで水耕栽培を始める際に、私が揃えた道具と栽培の基本ステップをリストアップしました。キッチンガーデンは鑑賞する目的もあるので、お部屋のインテリアや雰囲気などを考慮して栽培スタイルを決めましょう。

ちなみに私はLED水耕栽培キットとリボベジから始めました。ここで紹介する内容がすべてではありませんが、ぜひ参考にしてみてください。

＜LED水耕栽培キットの場合＞

LED水耕栽培キット：植物育成用LED付きの水耕栽培キット。培地やネットポットなど、必要なものがセットされている商品が多いです

培養液：育てる野菜やハーブに必要な栄養素を含む液体肥料。市販の水耕栽培用液体肥料を選ぶといいでしょう

種：水耕栽培に向いている植物を選びましょう

●栽培の基本ステップ

①LED水耕栽培キットに種をまいて、培養液を入れる

②電源を入れて、成長を鑑賞しながら収穫タイミングを待つ

③収穫する

＜リボベジの場合＞

水耕ガラスや水耕プレート：ニンニクやキャベツなど、背があって自立できない野菜や根つきの野菜は、水耕ガラスで栽培して根を伸ばします。さつまいもや大根などは水耕プレート（鉢の受け皿でもＯＫ）で栽培します

培養液：育てる野菜やハーブに必要な栄養素を含む液体肥料。市販の水耕栽培用液体肥料を選ぶといいでしょう　※植物によっては水だけで育つものもあります

再生させる野菜：根元を残してカットした野菜の切れ端。キャベツ、ネギ、小松菜、根が出てきたにんにくは育てやすいです

●栽培の基本ステップ

①再生させる野菜を見つける

②水耕ガラスや水耕プレートに水か培養液を入れて、根を出させる

③成長を鑑賞して楽しむ　

④さらに大きく育てる場合は鉢に植え替え、土耕栽培に切り替える

⑤光と水分を適切に管理する

⑥成長を待って、収穫する

＜水耕容器の場合＞

水耕栽培用の容器：スプラウトプランターや水耕栽培ケースなどがあります。育てる野菜やハーブのサイズに合わせて選びましょう

スポンジやロックウール：種を固定し発芽を助けるための、植え付け用の培地。スポンジ、ロックウール、ココヤシファイバーなどがあります

ネットポット：底に穴が空いていて、根が水に浸る構造になっているカップ状のポット。水耕容器に合わせて選びましょう

培養液：育てる野菜やハーブに必要な栄養素を含む液体肥料。市販の水耕栽培用液体肥料を選ぶといいでしょう。※植物によっては水だけで育つものもあります

●栽培の基本ステップ

①必要な道具を準備する。

②種をスポンジやロックウールにセットして、発芽させる

③発芽した苗をネットポットにセット（ネットポットが必要ない植物もあります）して、水耕栽培容器に移す

④光と水分を適切に管理する

⑤ 成長を待って、収穫する

初心者の方は、市販の水耕栽培キットを使うのがおすすめ。道具選びやセッティングが簡単なので、成功体験につながりやすいはずです。

リーフレタスやハーブは、必要な分だけ摘み取ると、また新しい葉が育ちます。お料理に使いたいハーブや育てたい野菜を選んで、水耕栽培を楽しみましょう！

初心者でも失敗しない水耕栽培プランツとは？

水耕栽培キットや水耕容器でキッチンガーデンを成功させたい人は、、リーフレタスやバジルなど、栽培難易度の低い野菜やハーブから挑戦するのがおすすめです。

私は自分がお料理に使う頻度の高さから、バジルとパクチーの栽培からはじめました。

パクチーは以前、土耕栽培でうまく育たなかった苦い経験があるのですが、水耕栽培ではすくすくと成長してくれました。自分で育てたパクチーをたっぷり使ったカオマンガイ、最高です！

比較的早く収穫でき、料理にも使いやすいという観点では、他にも以下の野菜やハーブが挙げられます。

＜水耕容器栽培キットや水耕容器の場合＞

バジル：発芽が早く、葉を摘み取りながら長期間収穫が可能。パスタやカプレーゼなど汎用性が高く、水耕栽培では特に人気の高いハーブです

ミント：生命力が非常に強く、どんどん増えます。収穫後も新しい葉がすぐに生えるので、ハーブティーやモヒートなどに活用できます

リーフレタス：発芽率が高く、短期間で成長するため初心者におすすめ。光さえしっかり当てれば元気に育ってくれます。サラダやサンドイッチの具材に

ルッコラ：種を蒔いてから20～30日程度で収穫可能。そのままサラダに使えるほか、ピザやパスタのトッピングにも

パセリ：一度育て始めると長期間収穫が可能。パスタやスープの彩りや香り付けに最適で、冷凍保存しやすく乾燥パセリにも加工できます

スプラウト：ブロッコリースプラウト、アルファルファなど。わずか1～2週間で収穫でき、光の管理さえ適切であれば手間がほとんどかかりません

＜リボベジの場合＞

にんにく：根を出して冷蔵庫に眠っていたにんにくは、水耕ガラスに入れて育てるとにょきにょきと根を伸ばします

キャベツ：キャベツの切れ端を水耕ガラスに入れておくと、芯から根がでてきます。キャベツの葉がどんどん増えて楽しいです

ねぎ：ねぎの切れ端を水耕ガラスに入れておくと根が出て、ねぎの青い部分が伸びてきます

小松菜：もともと根が出ている葉物野菜はリボベジで育てやすいです。水耕ガラスに入れて根を伸ばすと葉が再生します

さつまいも：根が出そうなさつまいもを見つけたらリボベジ開始の合図。成長した葉が♡のようでかわいいです

これらの初心者向きの野菜やハーブからスタートして、まずは水耕栽培に慣れるところから始めましょう。

水耕栽培でありがちなトラブルと解決方法

水耕栽培は土を使わないシンプルな栽培方法ですが、慣れないうちはトラブルが発生することもあります。

ここでは私が水耕栽培をやっていく過程で直面したトラブルと、その解決方法を紹介します。とは言え、失敗も楽しみながら続けていくのが一番ですよ！

①根が茶色く変色し、枯れてしまった…

根が腐敗している可能性が高いです。水や培養液は定期的に交換して、容器内を清潔に保つ必要があります。植物の根が浸かり過ぎてしまっているケースも原因の可能性あり

②葉が黄色く変色してしまった…

培養液中の栄養バランスが崩れているかもしれません。培養液を交換し、適正な肥料濃度を確認しましょう

③水が悪臭を放つ…

培養液が古くなっているか、根が腐敗して水が汚染されているかもしれません。培養液を交換して、容器を洗浄しましょう

④植物が成長しない…

光量が不足しているか、養液の栄養濃度が適切でない可能性があります。日光浴をさせるか、LED育成ライトを使用して光を補いましょう。培養液の濃度が高すぎたり低すぎたりしていないか、栽培環境の温度が適正かも確認しましょう

⑤害虫が発生してしまった…

室内で管理している場合でも、アブラムシやコバエなど小さな害虫が発生することがあります。害虫を発見したら、手で取り除くか、植物用の安全な防虫スプレーやコバエ取りを使用するなどして対策しましょう。室内の通気を改善することも、対策の一例です

水耕栽培に影響を与えるトラブルは様々です。トラブルを未然に防ぐポイントは、常に鑑賞できる場所で育てて定期的に状態を観察すること、適切なタイミングで培養液を交換して容器を洗浄すること、あとは適切な光と温度を維持することです。

私も様々なトラブルに直面しましたが、それらも植物の成長の一環ですし、自分も成長できている気がして苦になりませんでした。トラブルすらも楽しみながら対策を試してみてください。

水耕栽培でキッチンガーデンを始めてみよう！

私の経験をもとに水耕栽培について解説してきましたが、初心者でも簡単にキッチンガーデンを始められるシンプルな栽培方法だということがおわかりいただけたかと思います。

キッチンガーデンを始めるときは、どのような野菜やハーブを育てて、どんなお料理に活用したいかを考えるのも楽しみのひとつです。

まずはキッチンガーデンに囲まれた、癒やしの空間をイメージするところから始めてみてください。

「新鮮な食材を収穫する喜び」と「インテリアとして鑑賞する楽しさ」の両方を味わえるキッチンガーデン。朝起きて、栽培植物の成長を愛でる生活は、命あるものと暮らす喜びに。

自分が愛情を注いだ以上の価値を、野菜やハーブたちが返ししてくれるはずです。本記事で紹介した内容を参考に、自分だけのキッチンガーデンを楽しんでみてください。

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