庭がなくてもOK!ベランダで育てる「エディブルフラワー」
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料理をパッと華やかにしてくれる「エディブルフラワー」。食用として“食べられる花”のことで、スイーツやサラダをはじめ、さまざまな料理に使われています。エディブルフラワーはプランターを使って家のベランダでも育てることが可能です。今日は、食卓を彩るエディブルフラワーの栽培方法や育てる際の注意点、活用アイデアなどを紹介します。
エディブルフラワーとは?

エディブルフラワーとは、「edible(食用)」「flower(花)」の意味の通り、“食べられる花”です。
いつもの料理にエディブルフラワーをトッピングするだけで、彩り豊かな見た目になり、食卓を華やかに演出してくれます。
野菜や果物と同じような感覚で使え、種類によって味や食感、含まれる栄養素(ビタミン、食物繊維、ポリフェノールなど)が違います。
「花を食べるなんて…」と抵抗を感じる方もいるかもしれませんが、実は日本では、古くから花を食材として取り入れてきた歴史があります。
現代でもその習慣は続いており、たとえば「菊」や「菜の花」はおひたしや天ぷらに、「桜の花びら」は塩漬けにして和菓子に使われるなど、花を食べる文化は意外と身近な存在です。
「エディブルフラワー」として日本に広まってきたのは、1980年代頃からだと言われています。
おすすめ!エディブルフラワーの品種3選

エディブルフラワーの種類は数多くあります。今回はエディブルフラワーの栽培に慣れていない方にもおすすめな品種を3つご紹介します。
【1】パンジー(ビオラ)

まず、エディブルフラワーと聞いて思い浮かぶ花のひとつが「パンジー(ビオラ)」です。学校や家などで育てた経験がある方も多いのではないでしょうか。スミレ科のパンジーは、花の色の種類が多く、かわいらしい見た目をしています。
パンジーを種から育てる場合は、8月下旬〜9月頃に蒔き、苗から育てる場合は10月〜11月頃に植え付けを行います。
開花期は10月から翌年5月頃までと長く、季節をまたいで彩りを楽しめます。寒さにも強いため、栽培初心者でも育てやすいです。味わいはあっさりとしているので、料理に使いやすいでしょう。
なお、パンジーとビオラの主な違いは、花びらの大きさです。5cm以上のものをパンジー、4cm以下のものをビオラと呼びます。大きさや色など、好みで品種を選んでみてください。
【2】ノースポール

白くてかわいいキク科の「ノースポール」は、北アフリカを原産した一年草。爽やかな色合いで特に春〜夏の季節にぴったりなエディブルフラワーです。
苗の植え付けは10〜12月頃に行い、開花は12月〜5月とこちらも長いです。丈夫で寒さに強く、冬越しもしやすいので栽培に慣れていない方も育てやすいでしょう。
ノースポールの味わいは、ほんのりとした苦味があることが特徴です。サラダやおかずのアクセントにしたいときにぴったりです。
【3】キンギョソウ

オオバコ科に属する「キンギョソウ」は、金魚をイメージさせるような、ふっくらとしたかわいい花が特徴です。
地中海沿岸地方を原産地とし、本来多年草として扱われていますが、高温多湿の日本の環境では適応するのが難しいと言われており、日本では一年草として扱われています。
キンギョソウは4〜5月、9〜10月頃に種蒔きをし、4~6月頃に開花します。種からでも育てやすい植物のため、初心者にもおすすめです。
花は柔らかく、味自体はあまりありません。花の一番外側にある「がく」には少し苦味があるので、併せて食べるのも良いでしょう。
エディブルフラワーの育て方

ここからはエディブルフラワーの育て方を紹介します。エディブルフラワーはプランターを使ってベランダでも育てられるので、家庭菜園初心者の方でも栽培しやすいです。
エディブルフラワーの栽培に必要なもの
エディブルフラワーを育てるために必要なアイテムは以下の通りです。
・育てたいエディブルフラワーの苗
・プランター
・培養土
・鉢底石、鉢底ネット
・防虫ネット
・備品(スコップ、軍手、ジョウロ)
種から育てる方法もありますが、初心者の場合はある程度育った苗から栽培すると、失敗しにくいです。ネットショップやホームセンターなどで販売されている苗を使います。
ただし、口に入れるものなので必ず「エディブルフラワー用」の苗を購入してください。買う際は、農薬が使われていないかもチェックしましょう。
苗の植え付け〜水やり

まずプランターに鉢底石と鉢底ネットをセットし、培養土を入れていきます。鉢底石と鉢底ネットを使うと、プランターの底から害虫が侵入したり、土が流れ出てしまったりするのを防げますよ。
培養土を入れたら、使用するプランターの大きさに合わせて苗を植えていきます。株と株の間は10cmほど間隔をとりましょう。
苗を入れ土を被せたら、たっぷりと水をあげて準備は完了です。その後は日当たりや風通しが良い場所に置き、土の表面が乾いたらプランターの底から流れ出てくるほど、たっぷりと水をあげましょう。
なお、花によって開花するまでの育て方に違いがあるため、日当たりや水の量などは種類別にご確認ください。
収穫〜保存方法

鮮やかな花が咲いたらいよいよ収穫です。ハサミを使って優しく花を摘んでいきましょう。すぐに食べる場合は野菜と同様に水でキレイに洗ってから使ってください。
多く収穫ができて保存する際は、必ず冷蔵庫に入れましょう。濡らしたキッチンペーパーでエディブルフラワーをふんわりと包み、フタ付きの保存容器に入れます。乾燥しないようにペーパーで包んでから保存すると長もちしやすいです。
エディブルフラワーを育てるときの注意点

エディブルフラワーを楽しめるように、栽培するときの注意点を紹介します。
害虫対策を行う
エディブルフラワーは口に入れるからこそ、農薬を使わず育てたいもの。しかし、農薬を使わないと害虫が寄ってきて花が病気になってしまうことも……。そのため、日々の害虫対策には力を入れましょう。防虫ネットをかぶせて、虫が寄りつかないようにしたり、天然由来の素材で作った防虫剤を活用したりします。また、毎日葉や花びらの様子を観察し、虫がついていたら取り除くようにしてください。
エディブルフラワーとして食べられない花もある
エディブルフラワーとして食べられない花もあります。たとえば「スイセン」や「紫陽花」などは毒性が強いため、食用としては推奨されていないので注意しましょう。誤って食べてしまうと、中毒症状を引き起こしてしまう可能性があると言われています。必ずエディブルフラワーとしての種や苗を購入するようにしてください。
観賞用の花と混ざらないようにする

エディブルフラワー用のパンジーと同じプランターで、観賞用のパンジーを一緒に育てるのは避けましょう。観賞用の苗には薬剤が使われている可能性があり、エディブルフラワー用の苗が影響を受けてしまうからです。食用の花はプランターを分けて栽培すると安心です。
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華やかなエディブルフラワーを活用してみよう!

収穫したエディブルフラワーを料理に使ってみましょう。ここでは簡単なアレンジを紹介します。
【アレンジ1】サラダ

まずはサラダにトッピングするアレンジです。
〈材料〉
・エディブルフラワー
・お好みの野菜
・ドレッシング
〈作り方〉
1:エディブルフラワーを水洗いしておく
2:野菜を洗い適度な大きさにカットし、水気を切っておく
3:お皿に野菜を盛り、仕上げにエディブルフラワーをトッピングしたら完成
いつものサラダにエディブルフラワーを加えるだけで、あっという間にカフェのような雰囲気の一皿になります。サラダはベビーリーフやトマト、きゅうりなど、お好みの野菜で作ってみてください。彩りが偏ってしまう日も、エディブルフラワーをトッピングするとパッと華やかになります。
【アレンジ2】アイスドリンク

冷たいドリンクにエディブルフラワーを入れると、映える一杯が出来上がります。
〈材料〉
・エディブルフラワー
・炭酸水
・レモン(またはライム)
・砂糖
・ミント
・氷
〈作り方〉
1:エディブルフラワーを水洗いしておく
2:グラスに輪切りにしたレモン、ミント、砂糖などを入れてスプーンで潰す
3:氷と炭酸水を加えて混ぜ、エディブルフラワーを飾れば完成
いつもの炭酸ドリンクにエディブルフラワーを入れるアレンジです。今回はノンアルコールモヒートを紹介しましたが、はちみつレモンソーダにしたり、梅ソーダ、冷凍フルーツを使ったサワーなどにしたりと、ドリンクの中身を変えても楽しめます。
【アレンジ3】スイーツ

エディブルフラワーはさまざまなスイーツに活用できます。例えばアイシングをしたクッキーの上に、エディブルフラワーをのせて固めたら、おもてなしにもぴったりなおしゃれなおやつになります。他にもパンケーキやホールケーキのトッピングに使うアレンジもおすすめです。フルーツを使わなくても鮮やかな見た目が作れます。
エディブルフラワーをベランダで育ててみよう!

ベランダでエディブルフラワーを育てる方法について紹介しました。
色鮮やかなエディブルフラワーは、害虫対策をしっかり行うとベランダでも栽培が可能です。害虫対策に手間はかかるものの、エディブルフラワーがあれば毎日の料理がぐっと華やかになります。
食卓がマンネリ化してきたと感じている方は、エディブルフラワーの栽培にチャレンジしてみてはいかがでしょうか?
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