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横浜の耕作放棄地が“みんなの畑”に!都市農業×コミュニティの挑戦記録【編集部員日記・前編】

世界有数の港湾・商工業都市と呼ばれる横浜市にありながら、農業が盛んな都筑区。現役農家さんも多い中、手つかずになってしまった畑も点在しています。そんな一角の荒畑に集まったのは、未来を生きる子どもたちと、子どもの心を忘れない地域の大人たち。この記事は、TSUCHILL編集部員の筆者みずからが再開墾に挑戦しながら、その記録を綴った「みんなの畑」の物語です。

耕作放棄地を再生!畑を無償で借りて始まった地域プロジェクト

再開墾前の荒れ放題の畑

「この畑が、また元通りになったら…」

そんな言葉を口にしたのは、この畑の持ち主である大家さんでした。

かつてはご夫婦で丁寧に手を入れていたこの畑も、5年前にご主人が病を患ってからは次第に手つかずとなり、亡くなった後もそのままの状態が続いていたそうです。

畑を元通りにしたいと願っていた大家さんと、「子どもたちと一緒に畑をやりたい」と考えていた筆者をはじめとする地域の大人たち。そんな両者の想いが合致してスタートしたのが、この「みんなの畑」プロジェクトです。

まずは雑草を刈る作業からスタート

2024年12月、最初に現地を訪れたときは、雑草が生い茂り、木にはつる性植物が絡みつき、小屋の中は埃をかぶった道具と不用品の山で足の踏み場もないほど。

「これは、相当な作業になるぞ…」と、正直たじろぎました。

でも「みんなでやれば、なんとかなるかも」と気持ちを切り替えるのに、そう時間はかかりませんでした。「畑を維持管理してくれるなら」と無償で貸し出してくれた大家さんの気持ちに、私たちは結果で応えることしか頭になかったからです。

農業経験者がいるわけでもないのに、やる気だけが自信になっていました。

子どもたちもしっかりと働いてくれます

無償で畑を借りられたのは本当にラッキーでしたが、手がつけられない状態の畑に頭を悩ませている土地所有者は少なくないと思います。

これから畑をやりたいと思っている人は、まずはそんな土地をリサーチしてみるのも、ひとつの手ではないでしょうか。

縁もゆかりもない土地では難しいかもしれませんが、自分が住んでる地域のコミュニティを駆使すれば、いい話が転がってくるかもしれません。

小屋の奥に、冬眠中のヘビがいた!

ひと通り整理を終えた小屋から出てきたのは、ヘビ!

年が明けた2025年の1月25日、雑草の刈り払いと小屋の片付けから再開墾作業が始まりました。

かつて植木屋で働いていたというプロジェクトメンバーのひとりが、刈り払い機を巧みに操り、雑草をきれいに刈っていきます。

筆者もやってみましたが、効率が悪いのですぐにバトンタッチ…。小屋の片付けを担当することにしました。

小屋にあったネコも大活躍

小屋の中は、散乱する木材や大量の不用品の山で足の踏み場もありません。それらをすべて外に運び出し、整理整頓していきます。すると奥から鍬やシャベルなど使えそうな道具が次々と出てくるのでした。

「これは主人が使っていたものだから、よかったら使ってね」と大家さん。

ジーンとくる言葉に、畑の歴史に参加するという感覚が芽生えました。道具を譲り受けたということは、つまりバトンを渡されたのではないかと——。

そんな感動に浸っているのもつかの間、事件は片付けの終盤に起きました。

とぐろを巻いてうにゅうにょ動くヘビ、ヘビ、ヘビー!!

「うわっ!ヘビ!!」

「しかも10匹くらいいる…!」

小屋の中に敷いてあった朽ちた板をめくると、冬眠中のヘビがにょろにょろと。最初は大人たちもひるみましたが、子どもたちは大騒ぎしながらも大喜びです。

「殺しちゃうのはかわいそうだね」

「どうする?」

「しばらくそっとしておこうか」

しばらく見守っていると、やがてヘビたちはみずから外の茂みへとお引っ越し。

寝ていたところを人間の都合で叩き起こして退去させたのは申し訳なかったですが、今年は巳年ということで勘弁してもらいました。(理由になってない!笑)

まず手をつけたのは、畑じゃなくてBBQ場だった

田んぼ越しに横浜青葉ICを眺めながら野菜と肉を焼くイメージ

「畑やるんでしょ?なんで最初にBBQ場から作ってるの?(笑)」

ときどき、そんな声も聞こえてきましたが、「みんなの畑」らしさが表れていたのが、まさにこの順序だと思っています。

小屋の裏にある空きスペースに防草シートを敷き、人工芝を貼り、ハイエースで高速に乗ってダムまで拾いに行った流木でトリミング。焼き場には同じくダムで拾ってきたウッドチップを敷き詰めました。

流木はダムが開放している集積場にて無料でゲット
点圧したスペースに防草シートを敷きます
防草シートの上に人工芝を敷けば、BBQ場の完成です

みんなで何かを始めるとき、「集まる理由がある」って、とても大事だと思うんです。

手と足を動かしながら、話して、笑って、ごはんを食べて。

そんな時間が、みんなの畑を作り上げていくという考えが、BBQ場から作った最大の理由です。

完成したBBQ場でおにぎりを広げて、気持ちのいいランチタイム

BBQ場が完成すると、畑にはまだ畝すら立ち上がってないのに、なんだか“居場所”ができた気に。

子どもたちが楽しそうに鬼ごっこしたり、木登りして遊んだり、人工芝の上でゴロゴロしているときの笑顔が、すでにこの畑が何かを育んでいる証でした。

ここまでにかかった費用は、およそ7万円

再開墾初日に集まったメンバー

雑草の刈り払いに必要な道具の購入費と、防草シートや人工芝などBBQ場の整備にかかった費用が約7万円。刈り払い機を借りることができたので、費用を抑えることができました。

自分ひとりでは揃えることができない道具も、「誰か持ってないかな」のひと言を発することで揃ってしまう可能性があることも、〝みんな″で畑をやるメリットだと思います。

本記事の【後編】では、いよいよ畑の天地返しや畝立てなどの土づくりが始まります!

<費用内訳>

用途金額
熊手・袋¥3,900
テミ¥1,494
とんぼ¥5,368
刈り払い機用ガソリン¥1,780
防草シート¥11,093
人工芝一式¥43,740
合計¥67,375
※金額は当時の購入価格です。移動にかかったガソリン代などは除く。

馬渕信彦

編集・執筆業を中心に活動。和酒の魅力を伝えることをライフワークにしながら、アウトドア界隈にも頻繁に出没。地元・横浜で子どもたちと「みんなの畑」を再開墾し、「ツチる」を実践中。

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