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都会のベランダで “土作り” から始める、小松菜栽培プロジェクト

「土作り」と聞くと、本格的な畑仕事を思い浮かべるかもしれませんが、実はそんなに難しいことではありません。堆肥を作り、土と混ぜ合わせ、そこで野菜を育てる。普段とはひと味違うベランダ菜園は、簡単に準備できるのです。今回はベランダで育てるのに最適な小松菜の栽培を通して、土づくりの魅力をお伝えします。

小松菜って、どんな野菜?

まずは栽培する小松菜の紹介から。

小松菜は、江戸時代から親しまれてきた日本の伝統野菜のひとつ。青々とした姿が美しい、アブラナ科の緑黄色野菜です。

その名の由来は、東京の「小松川(現在の江戸川区)」で多く栽培されたことから「小松菜」と名付けられたそうです。

葉はやわらかく、クセが少ないため、炒め物や味噌汁、おひたしなど、さまざまな料理に使える万能野菜です。

また、小松菜の魅力は味だけではありません。栄養価も非常に高く、特にカルシウムやビタミン類が豊富なことで知られています。

カルシウムの含有量は、実にほうれん草の約5倍とも言われており、そのほかにも、鉄分やビタミンA(β-カロテン)、ビタミンC、食物繊維などがバランスよく含まれています。

小松菜は寒さに強く、冬でも育てられるのが特徴です。プランターやベランダでも手軽に栽培が可能です。発芽から収穫までの期間が短く、気温や日照条件が合えば1ヶ月程度で収穫できるため、育てる楽しみと食べる喜びを頻繁に味わうことも可能です。

季節を問わず、ちょっとしたスペースで手軽に育てられる小松菜は、まさに現代の都市生活に寄り添う、家庭菜園向きの野菜と言えるでしょう。

ベランダで小松菜を育てることのメリット

ベランダで育てるという制約があるからこそ、限られたスペースを工夫して使う楽しみが生まれます。特に小松菜は、プランターや再利用した容器でも十分に育つため、園芸初心者でも栽培に挑戦しやすいのが嬉しいところです。

また、収穫した小松菜が頻繁に食卓に並ぶことになれば、美容面、健康面でも大きなメリットも期待できます。小松菜には、骨の健康を支えるカルシウム、鉄分、ビタミンC、β-カロテンなどの栄養素が豊富に含まれており、疲労回復や免疫力アップ、美肌にも効果的とされています。

さらに、収穫してすぐの新鮮な小松菜は、味も濃く、栄養価も高いため、その美味しさを存分に堪能できます。

小松菜を育てることは「楽しさ」「美味しさ」「健康」を一挙に手に入れることに繋がります。自宅のベランダという、ごく身近な空間を利用して心身の健康を同時に得られる、実に価値ある趣味になるはずです。

ベランダ栽培は「土作り」から挑戦したい

ベランダで栽培を始めるうえで挑戦してみたいのが、「最適な土作り」です。

限られた空間でプランターや鉢を使って栽培をするとなると、栄養分がしっかり含まれ、排水性と保水性のバランスが取れた土が不可欠です。

もちろん、市販されている一般的な園芸用の土を使うのもひとつの手ですが、自分で「土を作る」ことによって、野菜の成長に対する理解や愛着も深まります。

都会でも実践できる土作りの第一歩として注目したいのが、「生ごみ堆肥」の活用です。

家庭から出る野菜くずや果物の皮、コーヒーかすなどを堆肥化することで、栄養価の高い自家製の土壌改良材が作れます。

ベランダでも扱いやすい密閉型のコンポスト容器を利用すれば、においや虫の心配も最小限に抑えられます。

堆肥づくりのポイントは「水分と空気のバランス」です。湿りすぎると発酵が進んで悪臭が発生しやすくなるため、乾燥した落ち葉などの乾いた素材を混ぜるのがおすすめです。

また、週に数回かき混ぜて空気を入れることで、発酵が活発になり、分解がスムーズに進みます。できあがった堆肥は、赤玉土や腐葉土と混ぜることで、理想的な栽培用土になります。

小松菜にとっては、やや保水性が高く、栄養分に富んだフカフカの土が適しています。最適な土をプロデュースして、小松菜栽培を成功させましょう。

小松菜は初心者向け!ベランダ栽培に適した理由とは?

小松菜は、家庭菜園初心者でも安心して育てられる野菜として人気です。

発芽から収穫までの期間が比較的短く、春や秋であれば種まきからおよそ30日程度で食べごろのサイズにまで成長します。

栽培期間が短いことで失敗のリスクが少なく、すぐに結果を得られるという点で、初心者には大きなメリットになります。

狭いスペースでもよく育つというのも大きなポイント。深さ15cm程度のプランターや植木鉢があれば十分ですから、ベランダや玄関先などで栽培しても邪魔になりません。

横に広がらず縦に育つタイプの野菜のため、複数の株をコンパクトに植えることができ、限られた空間を有効活用できます。

小松菜の成長には日当たりと風通しも欠かせませんが、1日3~4時間以上日が当たる場所が確保できれば問題ありません。

乾燥しやすい真夏は朝晩の2回水やりが必要になることもありますが、過剰な水やりは根を傷めるので、通常は土の表面が乾いた時点で水をやれば十分。

最低限の管理を心がければ、種まきから約1ヶ月で収穫の恵みを得ることができます。

小松菜をベランダで育てるために必要なもの

では、実際にベランダで小松菜を栽培していくうえで、必要なものを見ていきましょう。

・プランター

小松菜が成長していくうえで、根がしっかりと張れるよう、深さは10~15cm以上あるものを選びます。底に水抜き穴があるものが必須なので、ベランダを汚さないよう、受け皿の用意もお忘れなく。横幅が広いタイプを選ぶと、複数の株を同時に育てやすくなります

・土

今回は、堆肥を混ぜ込んだ自作の土を使います。自作する場合は、赤玉土6:腐葉土3:堆肥1の配合が目安です。水はけと保水性のバランスが取れた、ふかふかで軽い土にすることをイメージしてください。もちろん、市販の培養土を用意しても構いません。

・小松菜の種

小松菜の種には、「ベランダ向け」「家庭菜園用」などと記載された品種もあります。春まき・秋まきの時期に適した「さくらぎ」「きよすみ」、夏まきに適した「奈々音」「はっけい」、冬まきに適した「わかみ」「はまつづき」など、季節ごとに育ちやすい品種がありますので、時期を見計らって選ぶのが良いでしょう。

・肥料

手軽に使える液体肥料がおすすめです。元肥入りの培養土を使う場合、追加の追肥は1~2回程度でOKになります。

そのほかに、スコップや水やり用のジョウロなど、基本的な道具を用意すれば、準備完了です。早速、小松菜の栽培をスタートしましょう。

小松菜の育て方

準備ができたら、いよいよ栽培のスタート。まずはプランターに土を投入するところから始めます。

・種まき

プランターに土を入れたら、表面を軽くならし、1cmほどの浅い溝を2〜3列作ります。種は密集しすぎないように、1cm間隔でスジまきします。その後、土を軽くかぶせ、そっと押さえて密着させましょう。まき終わったら霧吹きやジョウロでたっぷり水を与えます。発芽するまでの数日は土を乾かさないように注意し、毎日土を湿らせる程度に水をあげます。発芽は3〜5日程度で始まります。

・間引き

双葉が生えそろったら、混み合っている部分を間引いて株間を2〜3cmに整えましょう。本葉が3〜4枚になった時点でさらに間引き、最終的には株間を5cmほどにします

・毎日の管理

プランターは日当たりの良い場所に置くのが基本ですが、直射日光が強すぎる季節は、遮光ネットなどで葉焼けを防ぐようにしてください。水やりは、土の表面が乾いたタイミングでたっぷりと。特に夏場は朝と夕方の2回が基本です。ただし、水のやりすぎは根腐れの原因になるので注意が必要です。

・収穫

小松菜は約30〜40日で収穫が可能です。草丈が20〜25cm程度になったら収穫のタイミング。株元を軽く持ち上げて引き抜きます。根元をハサミでカットするのもOKです。収穫が遅れると葉が硬くなり、美味しさが半減するので、時機を逃さないようにしましょう。

・病気の予防、害虫対策

万が一、アブラムシや青虫などが発生したら、見つけ次第手で取り除くか、市販の虫除けスプレーなどを活用しましょう。また、過湿状態が続くと病気が発生しやすいため、風通しを意識することが大事。サーキュレーターを使って風を当てておくのも良い方法です。

小松菜を使ったレシピで、食卓を豊かに演出!

小松菜はとても栄養価が高い“健康野菜”であると同時に、さまざまな料理に彩りと独特の食感を与えてくれる万能な食材でもあります。

アクが少なく、下茹での必要がないという使い勝手の良さも魅力です。そんな小松菜をふんだんに使ったレシピをご紹介します。

・小松菜&豚ロースの生姜焼き

<材料>
小松菜 1株
豚ロース肉 200g
しょう油 大さじ1
砂糖 大さじ1
擦りおろししょうが 大さじ1
塩 少々
サラダ油 大さじ1

<作り方>
1.収穫した小松菜はよく洗って土を落とし、ざく切りにします
2.中火で熱したフライパンにサラダ油を引き、塩を振った豚ロース肉を入れ、火を通します
3.小松菜を入れ、色が鮮やかになるまで炒めます
4.豚ロース肉に火が通ったら、しょう油、砂糖、擦りおろししょうがを加え、炒め合わせます

・小松菜の煮びたし

<材料>
小松菜 1株
油揚げ 1枚
水 200cc
和風顆粒だし 小さじ1/2
しょう油 大さじ1
みりん 大さじ1

<作り方>
1.収穫した小松菜はよく洗って土を落とし、3~4cm程度の長さで切ります。茎の部分は縦に細長く切っておくのがポイントです
2.油揚げは熱湯をかけるなどして油抜きをし、食べやすい大きさにカットします
3.鍋に水と和風顆粒だしを入れて火にかけ、煮立ったらしょう油とみりんを加えます
4.鍋に油揚げを入れてふたをし、弱火で3分ほど煮込みます
5.小松菜の茎の部分を鍋に入れ、2分ほど煮たら、葉の部分も入れます
6.ひと煮立ちさせたら完成です

土作りから始めて、小松菜栽培を満喫しよう!

手軽に野菜を栽培できるベランダ菜園は、実用的で楽しい趣味なのは間違いありません。そこに「土作り」という要素を加えることで、楽しみ方がさらに深いものになるはずです。

家庭から出る生ごみをたい肥として活用することは、環境問題を考えるうえでも大きなメリットがあります。

自分の手で作った土で、毎月のように小松菜を育てることができたら……。毎日のキッチンライフはさらに充実したものになるでしょう。

土作りから始める小松菜栽培を、ぜひお試しください!


こだわりの家庭菜園を目指している人は、こちらの記事もチェック!

溝口 敏正

フリーランスライター。趣味はハーブの栽培。

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