日本一の道の駅「川場田園プラザ」は契約農家の稼ぎも日本一?農業するなら川場村!
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「じゃらん 全国道の駅グランプリ2023」の調査で、満足度1位に輝いた「道の駅 川場田園プラザ」は、川場村のおいしい農産物を目当てに、年間240万人ものお客さんが訪れる人気スポットです。驚くのは集客力だけでなく、地元農家さんがしっかり稼いでいること。個人で1000万円以上を売り上げている人もいるそう。ということで、川場田園プラザの永井社長に根掘り葉掘り聞いてきました!
農家がマーケティング理論を学び、農産物の売上が2億円から8億円に!
ゴールデンウイークを過ぎた5月の週末、道の駅 川場田園プラザの広大な駐車場には観光バスと自家用車が連なり、家族連れを中心に多くの人々で賑わっていました。
車のナンバープレートを見ると、品川や練馬、横浜など首都圏からの来場者が多いことがわかります。
「私が社長に就任した2007年当時は、地元の黄色ナンバーの車が大半でした。ところが2015年頃からでしょうか。 首都圏ナンバーの高級車が増えて客層がガラリと変わり、売り上げも一気に伸びていきました」
こう話すのは、川場田園プラザの代表取締役社長・永井彰一さん。
社長就任時、地場農産物を販売するファーマーズマーケットの売り上げは2億円でしたが、現在ではなんと4倍の8億円に。
農家さんに永井流のマーケティング理論を教え、売り上げ分析のデータを活用するための勉強会を開いたり、生産履歴をつけることをお願いしてまわったといいます。
「10年前まで、トウモロコシは7月の第3週くらいから約1カ月間しか販売していませんでした。
なんとか7月頭から9月まで売れないか農家さんにお願いして販売期間を伸ばしたところ、売上がぐんと伸びました。
川場田園プラザでは現在、トウモロコシだけで約3000万円の売り上げがあります」
トウモロコシを3カ月間売って、500万円以上を稼ぐ農家もいる?
川場村の農家さんの多くは以前まで、自家消費用にだけトウモロコシを栽培し、出荷する人は少なかったそう。
しかし、永井さんが提案した販売期間の延長が功を奏し、出荷用にトウモロコシを栽培する人が増え、現在では40軒ほどに。
コンニャク栽培からトウモロコシ栽培に切り替えた75歳と73歳のご夫婦が、約3カ月間のトウモロコシ販売だけで500万円以上を売り上げた成功例もあるそうです。
糖度を高くするために朝採りを推奨するなどの収穫指導も行い、「川場田園プラザのトウモロコシはおいしい」と評判に。
川場村にはトウモロコシ栽培の専門農家はいませんが、その品質は高く評価され、隣町の専門農家が栽培するトウモロコシよりも高値で販売されています。 10年前は3本入りで300円以下でしたが、現在は600円以上の値をつけても完売し、最盛期でも400円は下回らないといいます。
トウモロコシを例に成功エピソードを語ってもらいましたが、他の野菜でも同じような改革を行い、売れる基盤を構築していった永井さん。
「生産者も消費者も笑顔になれる関係をつくらないとダメだってことを、農家の皆さんには言い続けましたね。 その結果、ひとつの農産物だけで年間100万円以上を売り上げるようになった農家さんが100人近くいます」
80代の生産者さんが、シャネルの口紅を塗って納品に来る⁉
川場田園プラザに野菜を卸している契約農家は、定年後に川場村に戻ってきて農業をはじめた半素人の方が多いそう。
年金を受給しながら実家の畑で野菜を育て、それなりの売り上げがあるので、みなさん暮らしは豊かなようです。
「納品に来る農家さんがボロボロの車で来る姿を、私は見たことがありません。80代の方でもしっかりメイクして来ますし、先日は『口紅はシャネルよ』と仰っていました(笑)。
そういった元気に稼いでいる祖父母や父母の姿を目の当たりにしているので、若い世代が農業を諦める理由がないわけです。 農業に関わる人が増えているというよりも、継承できていることが川場村の強みだと思います」
2024年4月に「人口戦略会議」が公表した報告書によると、全国の4割以上にあたる744の自治体が、若年女性人口の大幅な減少に伴って将来的に消滅する可能性があるそう。 人口約3200人の川場村ですが、その「消滅可能性自治体」には該当せず、中山間地域でありながら高齢化率も緩やかなのは、農業が元気であることが要因なのかもしれません。
「農業が元気な地域が存在する」という事実が、人材育成・確保の後押しに
育てた野菜が完売する全国屈指の道の駅があって、安定した収入が見込めて、農家のおばあさんがシャネルの口紅を塗って着飾って…、とにかく農業が元気な川場村。
農業を始めるのに、ここまで理想的な場所は、全国各地を探してもそう多くはないでしょう。
「川場村での就農者が増えることは、私たちにとっても嬉しいことです。役場に問い合わせていただければ、跡取りがいない農家さんの情報や耕作放棄地の情報だってあります。大歓迎ですよ!」
川場村には新規就農者の相談窓口もあり、行政のバックアップも手厚いようです。
「就農するなら川場村!」と言い切るかどうかは別として、川場村のように農業が明るく元気な地域があるという事実が、就農のモチベーションを高めてくれることは間違いありません。
最後に永井さんからいただいた、こんな力強い言葉を――。
「売れる場所と理論があれば、農家は稼げます!」