食品ロス1.2トン削減!子ども社長が挑む「食の地域課題」解決への道
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土と仲良くなって農を学び、チームでリアルな社会経験を積むことで、子どもたちが新たな時代を生き抜く力を育んでいます。「横浜ジュニアビレッジ」に所属する小中学生が取り組むのは、規格外の農作物を活用した食品ロス問題の解決。このプロジェクトを取りまとめる、ふたりの子ども社長に話を聞いてきました。
子どもたちが学ぶ“社会共育” 。ジュニアビレッジとは?

先日、小学5年生の息子が学校から持ち帰ってきたプリントを確認していると、1枚のチラシが目に飛び込んできました。そこには「田畑と地域を学び舎に、社会で生きる経験をつくるジュニアビレッジ」と書いてあります。
早速、ジュニアビレッジのHPをチェックしてみると、「土をさわり、農から学ぶ」というキャッチコピーが。
TSUCHILL編集部員として、これは見過ごすわけにはいきません。
もう少しジュニアビレッジのことを調べてみると、「小中学生を真ん中にリアルな食の地域課題にみんなで挑む“社会共育”プロジェクト」なんだそう。
全国に6か所ある拠点のひとつ「横浜ジュニアビレッジ」の活動テーマは、人口370万人の横浜で食品ロスを減らし、地産地消を推進すること。
活動テーマは拠点ごとに異なり、その地域にあった食の課題解決に挑んでいます。

例えば静岡を拠点とする「菊川ジュニアビレッジ」では茶業の活性化を活動テーマに掲げ、収穫したハーブを使用したハーブティを年間200万円(2023年度)も売り上げたそう。
ジュニアビレッジの取り組みでは、小中学生が土づくりから農作物の栽培、地域課題の解決を目指した特産品の開発、さらには販売に至るまでを自らの手でやり遂げます。
調べているうちにどんどんと興味がわいてきた筆者は、チラシにあった問い合わせ先に取材依頼書を送付。快諾いただき、「横浜ジュニアビレッジ」への取材が実現しました!
子ども社長に聞く!地域課題を解決する商品開発の心得

出迎えてくれたのは、中学2年生のはるさんとまりえさん。彼女たちが、横浜ジュニアビレッジの社長です。ジュニアビレッジはチームで活動していて、社長のほかにセールス担当、アグリテック担当、デザイン担当の子どもたちで組織されています。
「私たちは社長だけど、組織はピラミッド型ではなくてみんなが平等なんです」と、まりえさん。彼女たち社長は主にプロジェクトのとりまとめを担当していて、プロジェクトマネージャーのような役割なんだそう。
小3~中3の子どもたちがチームになって食の地域課題に挑みながら、社会人基礎力を磨いていることが凄い!
横浜ジュニアビレッジでは、子どもたちが土づくりからはじめて無農薬で育てた農作物や、地域の農家さんから買い取った規格外の農作物1.2トン(2年間合計)を使って商品開発することで、食品ロスの削減に挑戦しています。

上の写真は横浜ジュニアビレッジの子どもたちが開発した商品「ヨコハマたまねぎドレッシング」です。
原材料には、子どもたちが栽培した玉ねぎの他に、協業した農業さんの規格外の玉ねぎも含まれていて、ドレッシングを通してフードロス問題の解決に貢献しています。
2025年3月時点で74万5027円を売り上げているものの、子どもたちはすでに商品の課題を見つけていて、さらにおいしいドレッシングを届けるべく、大幅なリニューアルに取り組んでいます。

「市場調査を行った後に、模造紙に付箋を貼って、みんなで課題を出し合いました。味の改善だけじゃなくて、ラベルデザインのフォントや色も商品とマッチさせないとダメだなって…。商品をよりよく見せるデザインについても、みんなで考えました」(はるさん)
「製造をお願いするエスエスケイ・フーズさんに協力してもらって、玉ねぎの量やごま、こしょうの種類と分量を調整しながら、みんなで試食を重ねてドレッシングの味を決めました。3時間くらいやったので、けっこう大変でした(笑)」(まりえさん)
子どもたちの試行錯誤により、前年度に作ったドレッシングの課題だった「玉ねぎのシャキシャキ感のなさ」や「味の濃さや食べやすさ」も改善。
よりバランスの取れた新しいドレッシングの味が決まり、2025年7月(予定)にはリニューアルした「ヨコハマたまねぎドレッシング」の販売が始まります。
農業×商品開発というリアルな社会経験で、未来を耕す力を育む

商品開発のエピソードで印象的だったのは、子どもたちが決めたレシピで工場生産サンプルを作ってもらい、再現性をチェックしたときの話。工場側が用意したA・Bパターンを試食し、子どもたちが出した回答はAとBの折衷案だったそう。
どちらかではなく「最善」を選ぶことができたのは、考え抜く力が備わっているからでしょう。ジュニアビレッジの子どもたちは、リアルな社会経験を通して、自分軸を持って生きる力を身につけているように感じました。


また、リニューアルする「ヨコハマたまねぎドレッシング」に使う原料の玉ねぎは、土づくりから手掛けた自分たちの畑で育てたもの。前年度は育苗の段階で失敗があったそうですが、しっかりと改善して丁寧な栽培を心掛けたところ、畑がしっかりと応えてくれたそう。
「やっぱり自分たちで育てた玉ねぎでドレッシングを作ると、よりおいしく感じる!」と、社長のふたりは顔を見合わせて笑います。

横浜ジュニアビレッジで出会った子どもたちは、農業を通じて失敗も成功も経験し、食に関わる地域社会の課題に試行錯誤しながら取り組む中で、自ら未来を切り拓く力を育んでいます。
その姿はとても頼もしく、自信に満ちあふれ、まぶしいほどに輝いて見えました。
「暮らしの中に土いじりを。」
そんなTSUCHILLの想いとも共鳴する子どもたちの挑戦を、これからも応援したいと思います。