約50万フォロワーの”植物系インフルエンサー”って、どんな人?
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人気インフルエンサー、そらベジガーデンハックさんが発信する情報は、単なる“ハウツー”ものの枠にとどまらず、土と触れ合うことのおもしろさ、植物を育てることで広がる世界観を知ることができるのが魅力です。ビギナーにも優しく、楽しいコンテンツを生み出す秘訣と信念について伺いました。
土いじりは誰でも楽しめる。それを伝えたい

家庭菜園でもいい、観葉植物を育てるのでもいい。とにかく、土いじりを始めてみたい。そんな時、Web上で情報を探す人は少なくありません。
最近は、野菜や花の育て方はもちろん、最適な土の作り方、肥料の選び方、畑の管理方法から、収穫した野菜の美味しい食べ方まで、ありとあらゆる情報がネット上を飛び交っています。
「土に触れたことがない人に、その楽しさを知ってもらいたい。そして、そこから広がる世界の楽しさも伝えたい。そう思っているんです」

自身の活動コンセプトを笑顔で語ってくれたのは、植物系インフルエンサーとして人気急上昇中のそらベジガーデンハック(以下、そらベジ)さん。
Instagramのフォロワー数は約23万人、YouTubeチャンネルの登録者数は約20万人を誇り(2025年5月末日時点)、家庭菜園や園芸の愛好家から絶大なる支持を集めています。

定期的に発信される情報コンテンツは、“土いじりビギナー”の視点に寄り添ったハウツーものから、再生栽培のコツ、収穫物の有効活用法といった、高度でためになるものまで、多岐にわたります。
そらベジさんいわく、発信するコンテンツに共通しているのは“わかりやすさ”。小さな子どもが見ても植物に興味が持てるようなテイストが、そらベジさんの真骨頂です。

「これまで植物を育てることに縁がなかった人が、土いじりに興味を持ってもらえるよう、“とっかかり”の部分をわかりやすくお伝えしているところはありますね。
農業や園芸の情報は、わりと専門的になるのが常なので、難しく見えないように、誰でも始められるし、楽しめる、ということを知ってもらえる内容にしています」
優しい語り口で、植物にまつわる情報を丁寧に発信するスタイルは、幅広い層に受け入れられ、そらベジさんへの注目度は急上昇。

活動はネットの枠を飛び出し、2024年には野菜の作り方に関する書籍を出版。さらに、テレビ番組や園芸イベントに出演するなど、新進気鋭の植物インフルエンサーとしての地位を確かなものにしつつあるようです。
生き物への深い愛情が、知識を深める原動力に

幼い頃のそらベジさんは、植物に限らず、ありとあらゆる生物を愛する、“生き物大好き少年”だったといいます。
「植物はもちろんですが、虫も魚も大好きでした。ただ飼育して観察するだけでなく、繁殖させて増やすこともしていましたね。小学校低学年の頃には、魚を繁殖させてそれをペットショップに販売したこともありました(笑)」
生き物の生態から、育て方、繁殖のさせ方にまで興味を持ち、さまざまな角度で生き物に接していたそらベジさんは、高校に進学すると、生物学を専攻。
学問として生物と向き合うようになります。大学は東京農業大学に進み、森林総合学科に所属しました。

「農業大学ということで、興味深い選択肢はたくさんあったのですが、『生き物の近くにいられる学部』ということで、林業に関する学科を選びました。植物の生態の面白さにのめり込んでいったのはこの時期でしたね」
大学時代に学んだ植物に関する知識は、現在のそらベジさんの活動に大きな影響を与えているといいます。また、植物を軸にした地球環境の考え方、自然との共生の仕方、ひいては、食文化とのつながり、そういった多彩なテーマに関する情報がベースとなり、発信するコンテンツが形成されているのです。
「植物を育てることを考えると、集まってくる虫や鳥の存在、周辺の環境、そして、撮れた作物を食べること、そういったものが必ずリンクしてきますよね。それだけ考えるべきことや知っておくべきことのジャンルも広くなります。だから、それぞれの繋がりを意識していることで、役に立つんじゃないかと思っています」

学ぶこと、知識を深めることが好きなそらベジさんは、「もっと学べることがあったと、今では思っています」と、大学時代を振り返ります。
「当時も楽しく学んでいましたけど、今の僕だったらもっと有意義に学べたんじゃないかと思いますね。卒業してから興味を持った分野もありますし……。今も、新しい情報に合わせてできるだけ勉強や研究をしているつもりですが、将来的にはもう一度大学で学び直してもいいかなと思っています」

「いずれは“デジタル生物大学”のような形で、植物や生物全般の研究について発信するコンテンツも作ってみたいですね」と、意欲を語るそらベジさん。
どことなく、“学者肌”な雰囲気を醸し出すそらベジさんは、自ら手を動かして植物を育て、情報コンテンツを発信する中で、自身の興味を満足させる“研究”を続けているのかもしれません。
植物に興味を持ってくれる人が増えるのが、何よりの喜び

現在はコンテンツ制作のために畑を借り、自宅でもさまざまな観葉植物を育てているそらベジさんですが、日々植物たちのメンテナンスや、動画撮影といったルーティーンに追われつつも、充実した“植物ライフ”を送っています。

「毎朝7時過ぎに起き出して、植物の世話をしたり、動画の編集をしたり。週に一度は畑で撮影をしたりもします。借りている畑で育てているのは、動画で扱ったものがほとんどですが、デーツやパッションフルーツ、ドラゴンフルーツ、アボカドなどです。自宅ではベランダはもちろん、室内でも観葉植物を、それに、キッチンでもハーブなどを育てています」

そんな日々を過ごすそらベジさんも、ほんの数年前には人生の迷路に迷い込みかけた、ごく普通の若者でした。
大学卒業後に一般企業に就職し、営業マンとして働き始めたそらベジさんは、コロナ禍で営業活動もままならず、身動きが取れなくなりました。
結果、一念発起して2年ほど勤めた会社を退職。最初の半年はひたすら植物の育成をして経験を蓄え、その後インフルエンサーとしての第一歩を踏み出します。
「コロナ禍で仕事もなく、『このまま一生テレアポ営業をしていくのかな』と考えた時に、どうせなら好きなことにトライしたい、と思ったのがきっかけです。インフルエンサーとしてうまくいくかどうかは未知数でしたけれど、なんとか植物と関わりながら暮らせればと」

結果として、多くのフォロワーを抱えるインフルエンサーとなったそらベジさんは、忙しい毎日を楽しみながら、自身が発信する情報を心待ちにしてくれる人たちの期待に応え続けています。
「ありがたいことに、フォロワーさんからのコメントや質問がひっきりなしで(笑)。全部にお応えできないところもあるので、それが心苦しい。でも、少しでもお役に立ちたいと思って返信を頑張っています」

そらベジさんが語る「インフルエンサーとしての一番のやりがい」は、フォロワーに何らかのきっかけを与えられるところ。
「植物に興味を持った」「家庭菜園を始めた」などの報告を受けるたびに、喜びが爆発するそうです。

「特に子どもたちが、僕のコンテンツを見て自由研究のテーマを決めた、なんて話を聞くと感動しますよね。中には、自分も東京農業大学に進みたいです、なんてメッセージをくれた方もいて。植物をはじめとする生き物全般、さらには自然そのものに興味を持って、真剣に学びたいと思ってくれる人が増えることに貢献できているなら、最高に幸せですよね」
植物を育てることは、「見る目を養う」こと

何か新しいことを始めたいのなら、まず“土いじり”を。そう思ってやまないそらベジさんは、土と戯れることの奥深さと魅力を、熱心に語ってくれます。
「たとえば、ひと言で“土”と言っても、たくさんの種類があって、その中には、これまたたくさんの種類の微生物が存在しています。そんな土壌の上で植物を育てるわけです。さらに、どんな育成環境が最適なのか、どんな管理をしたらいいのか、もう、掘り下げることがいっぱいあるんです」

情熱を持って活動を続けるそらベジさんは、今後もさらに多くの人々に「植物を育ててみたい!」と思わせてくれるようなコンテンツを提供してくれるはずです。

「土自体は好奇心の源ですし、そこで育つ植物の生育を見ながらあれこれ考えることは発想の起点になります。毎日植物を見ていると、ちょっとした変化に驚かされることもありますね。だからこそ僕は、植物を育てるということは『ものを見る目を養うこと』につながると思っているんです。楽しみながら自分を成長させられる、最高の趣味だと思いませんか?」
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