夏の暑さへの対抗策!栄養満点のパセリを自宅で育てる
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さまざまな料理に添えられるお馴染みのハーブ、パセリ。食べて良し、飾って良しの便利食材だけど、キッチンに常備しているお宅、実は少ないのではないでしょうか。「今、ここにパセリがあれば……」と思うこと、ありますよね?ならば自宅で育ててみてはいかがでしょう。パセリのある日常は、きっと素敵なものになるはずです。
パセリに秘められた真のパワーとは!?

パセリはセリ科の多年草で、独特の香りと鮮やかな緑色が特徴です。料理に彩りを添える“名脇役”としての印象が強いパセリですが、実は非常に栄養価が高く、主役になりうるポテンシャルも持ち合わせています。
独特の風味と、爽やかな香り。パセリはビタミンCや鉄分、カリウムなどを豊富に含む健康食材。免疫力アップや貧血予防、美肌効果も期待できます。消化を助ける効果もあるため、こってりとした料理と合わせて食べるのもおすすめです。

薬味や風味付けだけでなく、サラダに取り入れたりソースにしたりするのもあり。健康的な食生活のためにも、日常的に取り入れたい“栄養の宝庫”と言えます。
そんなパセリを自宅で手軽に栽培できれば、今まで以上に気軽に料理に使えるはず。今回は、プランターで簡単にできる、パセリの栽培方法を詳しく掘り下げていきます。
パセリの好きな環境は?育てる前に知っておくべき特徴

パセリは、夏の気温が高くて乾燥しやすい地中海沿岸が原産地ということもあって、比較的耐暑性のあるハーブ。日本の夏でも安心して育てることができます。
ただ、明るい場所は好むものの直射日光には弱く、強い日差しが当たり続けると葉が焼けてしまうこともあります。真夏に育てる場合は、風通しの良い半日陰で育てるようにしましょう。
室内で育てる場合は、パセリを植えたプランターを明るい窓辺に置きつつ、直射日光が強いようならカーテンで遮るなどの工夫も必要です。

また、パセリは乾燥が苦手ですので、土の表面が乾いたらたっぷり水を上げてください。
苗から育てるのがおすすめ!パセリを育てる手順

では、パセリを元気に、美味しく育てる方法を、順を追って見ていきましょう。
パセリの種や苗はホームセンターなどで簡単に手に入れることができます。パセリは発芽にやや時間がかかり、成長のスピードも比較的遅いので、収穫までの時間を短縮したいようなら苗から育て始めるのがおすすめです。
プランターの準備と土作り

パセリを育てるプランターは、深さ15cm~20cm以上のものを。2株以上植える場合は、株間が30cm以上開けられるサイズのものを選びましょう。
使用する土はハーブや野菜用の培養土が便利です。土を自作する場合は、赤玉土70%、腐葉土30%を混ぜます。パセリは酸性土壌を嫌いますから、石灰を混ぜて中和させておくことをお忘れなく。
種まき・苗の植え付け

種から育てる場合は、まく前にひと晩水に浸けておきます。しっかりと水を吸わせた種を土の上に数粒ずつまき、軽く土を掛けます。まき終えたら土の表面を乾燥させないように、霧吹きなどで定期的に優しく水を上げてください。

苗から育てる場合は、根を傷つけないように注意しながら植え付けます。プランターに苗の根鉢(根を包んでいる土の塊)よりひと回り大きな穴を掘り、根鉢を崩さないように植えていきます。
植え終えたら株本の周辺に土を寄せ、軽く押さえておきます。水やりは植え付け直後からたっぷりと。2~3日はプランターごと日陰に置き、苗が落ち着くのを待ちます。
間引きのタイミング

種から育て始め、たくさんの芽が出始めたら間引きが必要になります。本葉が2~3枚になったら、間引きをしてください。間引きは数回に分けて行い、本葉が5~6枚になるころまでに、元気のいい株を1本残すことをイメージするといいでしょう。
パセリの成長を管理する
パセリは直射日光と乾燥を嫌うのは、すでにお話しした通り。土が乾かないように毎日チェックしながらたっぷりと水を与えます。直射日光が当たりすぎると感じたら、日陰に移動させるように心がけましょう。

水を十分に与えるのは大切なことですが、多湿は病気の原因になることもあります。水はけのよい土を使うこと、湿気が蓄積しないよう風通しの良い場所で育てることを意識してください。
また、パセリにはアブラムシ、ハダニ、キアゲハの幼虫といった害虫がつくこともあります。虫がつかないように日々葉の状態を観察し、必要であれば市販の殺虫剤を使うことも検討してください。薬剤を使う場合は、食用野菜やハーブにも使えるものを選びましょう。
葉がカールしたら収穫の合図!

本葉が15枚程度に増え、葉がカールしてきたら、収穫のタイミングです。外側の葉から順に収穫します。葉が付いた枝の部分はできるだけ長くとり、茎(幹)に近いところから切り離します。
成長力が強い夏場であれば、1週間ほどで再び収穫することも可能になります。

パセリは成長すると白い花を咲かせますが、そうなると葉が硬くなってしまいます。花が咲く前に収穫することを心がけてください。
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収穫したパセリを、長く楽しむための保存法

せっかくたくさん収穫できたパセリだから、いろいろな料理に使いたいですよね?そのためには、保存の仕方が重要になります。パセリには、用途に応じた保存方法があります。
冷蔵保存
新鮮さをキープするには、冷蔵保存が一番。収穫したパセリを軽く水洗いし、一旦水気を拭き取ったうえで、水で軽く濡らしたキッチンペーパーで全体を包みます。その状態のまま、ポリ袋などに入れて冷蔵庫へ。約2週間程度の保存が可能です。
冷凍保存
長く保存したいなら、冷凍保存がおすすめです。収穫したパセリを房のまま、ボウルなどに溜めた水できれいに洗います。しっかりと水気を切ったら、葉と茎を分け、茎は5~6cmの長さに切っておきます。そして、ジップ付きの冷凍保存袋に入れ、冷凍します。約1ヶ月保存することができます。

乾燥保存

パセリを薬味として使うことが前提なら、乾燥させて保存しましょう。
よく洗ってしっかり水を切ったパセリを、耐熱皿の上にキッチンペーパーを敷き、その上に並べます。電子レンジを600Wに設定し、3分ほど加熱したら粗熱を取ります。その状態でキッチンペーパーごと手で揉むと、葉がパラパラに。
しばらく放置すると完全に乾燥し、ドライパセリが完成します。密閉容器に移せば、1ヶ月ほど保存することができます。
メインとして、薬味として。美味しさ広がるパセリのレシピ

収穫したパセリを、たっぷりと味わうために、いくつかのレシピを用意しました。パセリが持つ爽やかな香りや独特の味わいを堪能しつつ、しっかりと栄養も摂取できる。そんなメニューをご紹介します。
パセリのジェノベーゼ風ソース

本来はバジルで作るジェノベーゼソースを、パセリを使ってアレンジします。作り置きしておけば、パスタにはもちろん、サラダドレッシングや、魚料理のソースにも使えます。
<材料(3~4人分)>
・パセリの葉(茎はなるべく除く)…50g
・ニンニク…1片
・松の実(なければカシューナッツやアーモンドでもOK)…20g
・粉チーズ(パルメザンなど)…30g
・オリーブオイル…100ml
・塩…少々
・こしょう…少々
・(お好みで)レモン汁…少々
<作り方>
1:パセリはよく洗って水気をしっかり拭き取る。ニンニクは皮をむいておく。
2:フードプロセッサーやミキサーにパセリ、ニンニク、松の実(あるいは、カシューナッツ、アーモンド)を入れ、撹拌する。
3:粉チーズを加え、さらに撹拌しながらオリーブオイルを少しずつ注ぎ入れる。
4:全体がなめらかに混ざったら、塩、こしょうで味をととのえる。爽やかさを出したい場合はレモン汁を加えてもいい。
5:保存する場合は瓶などに詰め、表面をオリーブオイルで覆うと酸化しにくくなる。冷蔵庫で1週間程度の保存が可能。
パセリのソースで作るジェノベーゼ風パスタ

パセリのジェノベーゼ風ソースの活用例として、定番料理のジェノベーゼパスタをご紹介します。風味を飛びにくくするため、ジェノベーゼソースは火を止めてから加えるのがポイントです。
<材料(2人分)>
・パセリのジェノベーゼソース…大さじ4〜5
・パスタ(スパゲッティなど)…160g
・ベーコン…60g
・松の実…大さじ1
・オリーブオイル…大さじ1
・にんにく…1片
・粉チーズ…適量
・塩・黒こしょう…各少々
・(お好みで)レモン汁…少々
<作り方>
1:たっぷりの湯に塩(湯1Lにつき塩10g程度・分量外)を加えてパスタを茹で始める。
2:フライパンにオリーブオイル、潰したにんにくを入れ、弱火で香りが立つまで炒める。
3:ベーコンを加え、カリッとするまで中火で炒める。松の実も加え、香ばしく色づくまで炒める。
4:茹で上がったパスタをフライパンに加え、パスタのゆで汁をおたま1杯程度(50ml程度)加えて手早く混ぜ、乳化させる。
5:火を止めてからパセリのジェノベーゼソースを加え、全体をよく和える。
6:塩・黒こしょうで味をととのえ、仕上げに粉チーズをふりかける。お好みでレモン汁を少し搾っても爽やかな味わいになる。
タブレサラダ

タブレサラダは、トルコの郷土料理。パセリが主役のサラダです。パセリの程よい苦みと、トマトの酸味が絶妙なハーモニーを奏でる、ヘルシーな一品です。食べる前に冷蔵庫で15分ほど冷やすと味がなじみます。
<材料(2人分)>
・パセリ…40g
・トマト…中1個
・玉ねぎ…1/4個
・レモン汁…大さじ1.5
・オリーブオイル…大さじ2
・塩…小さじ1/3〜1/2
・黒こしょう…少々
・(お好みで)ミントの葉…少々
<作り方>
1:パセリはみじん切り、トマトと玉ねぎは細かい角切りにしておく。
2:ボウルに刻んだパセリと野菜、レモン汁、オリーブオイルを入れて混ぜ、塩・黒こしょうで味をととのえる。
3:お好みで刻んだミントを加えると爽やかさが増す。
キッチンにパセリを常備。豊かで健康的な食卓を演出しよう

簡単に育てられて、栄養満点。幅広いメニューに活用できるうえ、生活習慣病の予防や美肌効果、口臭予防など、さまざまな効能が期待できるパセリは、日常生活を豊かに演出してくれる存在です。

広々としたスペースは必要ありません。ベランダの一角で、キッチンの片隅で、まずは気軽に栽培を始めてみましょう。
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