【農のスキマにピントを合わせて #001】子どもと始めるベランダ菜園。家庭でできる「小さな農」
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4歳の息子と一緒に、ベランダ菜園を始めました。光と風の中で、ミニトマトやナスが育つ日々。初心者ならではの不安と発見、そして“家族で育つ”時間を写真とともに描きます。
写真・文:吉田達史(Photographer)
📸 今日の1枚
「苗よりも、プランターに夢中なひと」

やっと、なのか。もう、なのか。
長男が4歳になり、言葉のやりとりも少しずつ高度になってきた。
こっちの言ってることも、だいたい通じる。しかも、最近では屁理屈まで添えてくる。
そんなタイミングで、ふと考えた。
「せっかく家族で過ごす時間、何か“育つもの”を一緒にやってみたい」と。
で、行き着いたのが「ベランダ菜園」。
光があって、風が通って、何より日々の変化を、子どもと一緒に「見る」「触る」「驚く」ことができる。
これはなかなか贅沢な遊びかもしれない。
ホームセンターは、ジャングルだった

さっそく長男と手をつないで近所のホームセンターへ。
花コーナーを抜け、園芸ゾーンへたどり着いた瞬間、息子の目が輝いた。
こちらも、ちょっとテンションが上がる。
だけど……いざ野菜苗を前にすると、こちらの方が若干ひるむ。
「こんな小さな苗で、ほんとに“美味しい野菜”ができるのか……?」
初心者あるある、不安スイッチオン。
それでも息子は迷わず「ミニトマト!」と指差す。よし、ならば夢はでっかく「鈴なり」だ。
今回、購入したものリスト
- 土:LIFELEXの培養土30L ×2袋
- プランター:42L大型プランター ×2個
- その他:鉢底石、鉢底ネット、レンガ8個、マグァンプK(中粒)
野菜苗は、なぜかミニトマトが3苗。
「枯れたらどうしよう…」「1本だけ実がつかなかったら…?」そんな小さな不安に、つい“保険”をかけたくなるのも、初心者あるある。
その他の苗は、枝豆、ピーマン、ナス、バジル、パセリ。

買いすぎてる気もするけど、全部食卓に出てほしいから、まぁ、いっか。
苗も、スプレーも、遊び道具

翌日は、植え付け前の“儀式”として、ベランダに害虫対策スプレーをまく。
市販の有機スプレー。安全第一。
息子が「シュッ、シュッ」と吹きかけながら「パパ、このスプレー、くさいよ!」と、良い反応。
たぶん、ニーム液の香りだ。虫が嫌がるだけじゃない、子どももちゃんと嫌がる。
でも、それでいい。
鉢底ネットに込めた“未来への配慮”


鉢底ネットを敷き、鉢底石を入れる。これは、水はけをよくするため。
根腐れを防ぎ、空気が通い、育ちが変わる。
それともうひとつ、僕には目的がある。「土を再利用したい」という思いだ。
家庭菜園の土は、捨てるのも一苦労。でも、鉢底石をネットで分けておけば、土が混ざらず管理しやすい。
少しの工夫で、次の野菜が、少しだけ始めやすくなる。
家族で「育つ」を見る暮らしへ

さて、いよいよ明日は植え付け。
ミニトマトがちゃんと育つか?
水なすはほんとに“手でさけるほど”やわらかくなるのか?
ピーマンが本当に“よくばり”なのか?
全部、まだよくわかってない。でも、子どもと一緒に、土に触れる時間ができた。
それだけでもきっと、このベランダの景色は変わり始めている。