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【グルチャが面白すぎた】農業✕東大生。本気で挑む地域おこしの裏側

アジア野菜やヨーロッパ野菜に興味を抱いた筆者が、その知識を深めるために訪れたとある畑。そこで出会ったのは、東京大学農学部で農業を研究する学生たちでした。 日本の未来を本気で考える東大生たちによる、農業を中心とした地域おこしの新しいカタチづくりが、いま始まろうとしています。

アジア野菜・ヨーロッパ野菜の魅力を求めて、千葉にある畑へ!

千葉県大網白里市を拠点にアジア野菜やヨーロッパ野菜を栽培しているテラ・マードレさんの畑

家庭菜園と言えば、スプラウトハーブミニトマトやきゅうりなどの定番野菜が中心でしたが、最近ではアジア野菜やヨーロッパ野菜を育てる人も増えています。

自分で育てたホーリーバジルでガパオライスを作ったり、自家栽培のルッコラを使ってトマトパスタを楽しんだりしている筆者も、その魅力にすっかりハマっている一人です。

アジア野菜やヨーロッパ野菜に関する探究心を満たすなら、畑を見るのが一番!

ということで、千葉県大網白里市を拠点に、多彩な野菜を栽培しているテラ・マードレ」さんの畑を見学させてもらうことに。

テラ・マードレさんは都内の人気レストランへ野菜を供給していて、品質が高く希少な野菜を栽培・販売しています。

畑には、カイラン菜や小白菜といったアジア野菜や、プンタレッラやセルバチコなどのヨーロッパ野菜が元気に育っていました。

中華料理や台湾料理で人気の小白菜
香りも味も濃厚なセルバチコ

育苗の様子も見学できるとのことで契約農家さんのハウスへ移動すると、そこで刺激的な出会いがありました。育苗作業を手伝っていたのは、なんと東京大学農学部の学生たち

学業の傍ら農業サークル「あぐりえこん。」のメンバーとして活動し、農業を学びながら実践もしているとのこと。筆者の興味は、アジア野菜やヨーロッパ野菜を超え、彼らの取り組みに引き込まれていきました。

東大生が挑む農村改革!サークル「あぐりえこん。」とは?

東京大学農学部の学生数名が2023年に立ち上げた農業サークル「あぐりえこん。」

作業の休憩中に話を聞いてみると、「あぐりえこん。」とは、農業を通じて地域経済の活性化を目指す東京大学農学部発の学生サークルなのだそう。援農ボランティアや農村サマーキャンプを企画し、学生が農業に興味を持つきっかけづくりを行っています。

学生たちは大学で農業に関するさまざまな題材を研究していて、「ゲノミック育種を活用した持続可能な農業」「卸売市場のデジタル化と農業の未来」など、話を少し聞いただけでも、その視座の高さに圧倒されます。

東京大学教養学部理科Ⅱ類1年の村尾くん。新潟出身で農業を身近に育ったこともあり、「あぐりえこん。」の活動に共感。農学部への進学を考えているそう
東京大学農学部農業資源経済学専修 4年の上野さん。農業と経済のつながりを研究し、今夏は青年海外協力隊としてケニアのコーヒー生産現場で知見を深める予定
東京大学農学部国際開発農学専修4年の岡部くん。東大の別の農業サークル「Agrlien」に所属しているが、今回はサークルを超えて援農ボランティアに参加

サークルメンバーの情報交換の場となっているグループチャットを見せてもらうと、輝く個性を持つ日本一の学生ならではの視点で、農政をはじめ日本の農業の課題を鋭く指摘し合っていました。

学生たちの間で話題になっていたのは、農業のフランチャイズ化について。「自力で産地リレーが組めるから市場競争力が高くなる」「2000年代後半から2010年代前半あたりに論文が集中している」といった投稿に、みなさん‟興味あり”のリアクションをしていました。また、「生産者、中間の人、消費者、行政のいろんな人の話を聞いて、それを学生が架け橋としてつなげることができたら素敵だよね」というやりとりに、農業サークル「あぐりえこん。」の活動方針のようなものを感じました。

サークルメンバーはコミュニケーションツール「Slack」を使って頻繁に情報交換しています

「援農ボランティアを通じて農村の方々と交流していると、行政・住民・地域外の人々との間で想いのズレを感じることがあります。生産者、JA、企業、行政といった関係者がそれぞれ努力しているのに、ビジネスの論理や社会のしがらみによって食い違いが生じてしまう…。そこに学生が入ることで、異なる立場の人々の想いをつなげることができるのではないかと考えています」

東京大学農学部農業資源経済学専修 4年の松本さん。流通に興味を持ち、大田市場での長期アルバイト経験も。今春から大学院へ進学し、企業との共同研究を進める予定

そう語るのは、「あぐりえこん。」代表の松本百永さん。

「社会のしがらみ」という言葉にドキッとした大人は、筆者だけではないと思います。諦めや慣れによって、しがらみという違和感に気づかなくなってしまう現実…。

そういうちょっとした溝に松本さんたちのような学生が入り込むことで、新たなつながりが生まれ、今まで壁となっていたものを壊すことができるのかもしれません。

農業で地域おこし!東大生が仕掛ける新プロジェクト

「あぐりえこん。」では定期的に大網白里市を訪れ、援農ボランティアを行っています

松本さんが代表を務める「あぐりえこん。」は、2025年から千葉県大網白里市における地域おこしプロジェクトを始動しました。

農業が盛んでありながら、生産年齢人口の減少という課題を抱えるこの地域で、行政と連携しながら農業を中心とした活性化施策を進めていきます。

右がテラ・マードレ社長の吉水さん。学生ボランティアを受け入れ、行政との連携もアシストしています

大網白里市は都心まで電車で約1時間とアクセスが良く、広大な田畑と美しい海岸を持つ地域なので、週末農家の受け入れ先としても機能します。最近ではデジタルネイティブ世代の移住も増えているそう。

また、先に紹介したテラ・マードレさんのような飲食店からの信頼が厚い農家など、魅力が際立つ事業者も多く、松本さんは「事業者同士がつながることで、新たな化学反応が生まれる可能性は無限大」と自信をのぞかせます。

「東大には、本当に面白い人がたくさんいます。より多くの学生に、農業に興味を持ってもらうきっかけづくりをしていきたい」と松本さん

東大農学部の学生たちが農業を基軸に地域おこしを考えることで、どんなプランが生まれるのか。彼女たちと共に動き出した人々は、きっとワクワクしているに違いありません。

「まずは大網白里市でのプロジェクトを成功させて、他の地域にも広げていきたい」と松本さん。

これからの時代は「縦の関係」よりも「横の関係」が重視されると言われています。「あぐりえこん。」が得意とするのは、横の関係の構築。

この記事を読んでいる行政関係者の皆さま、農業を活用した地域おこしをお考えなら、「あぐりえこん。」に相談してみてはいかがでしょうか。

馬渕信彦

編集・執筆業を中心に活動。和酒の魅力を伝えることをライフワークにしながら、アウトドア界隈にも頻繁に出没。地元・横浜で子どもたちと「みんなの畑」を再開墾し、「ツチる」を実践中。

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