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初心者でもできるキッチンガーデン。料理家・桑折敦子さんの「朝ごはんで香りを楽しむ」アイデア集

忙しい朝でも、ハーブや野菜の香りを添えるだけで、一日の始まりが少し特別になります。今回は料理家・桑折敦子さんに、キッチンガーデンの恵みを朝ごはんに取り入れるヒントを伺いました。紅茶に浮かぶミントの葉、三つ葉の香る味噌汁、子どもと一緒にカットするスプラウト。香りと手仕事が織りなす、やさしい朝の景色をお届けします。

【教えてくれる人】

桑折敦子(こおり・あつこ)さん

スープ専門店「Soup Stock Tokyo」のほとんどのメニュー開発を行ってきた、通称“スープの女神”。フリー転身後も業務委託として新商品の開発に携わるほか、料理家/フードプランナーとして企業の商品開発やメニュー監修、料理イベントやメディア出演などで活躍中。

忙しい朝にぴったり。キッチンガーデンで始める「香りの朝習慣

朝の光がやわらかく差し込むキッチンに、摘みたてのハーブの香りがふわりと漂う。まだ静かな時間の中で、葉をちぎる音やポットの湯気が、ゆるやかに一日を始めてくれます。

忙しい朝でも、少しの香りと彩りがあれば、気持ちがすっと整う。桑折敦子さんの朝ごはんには、そんな“香りのリズム”が流れています。
まずは、桑折さんがキッチンガーデンのハーブで楽しむ“朝の定番ペア”からです。

Q1. キッチンガーデンで作る、桑折さん“至福のサンド×ドリンク”ペアは?

「バターとほんの少しの辛子マヨネーズを塗って、ディルかチャイブをパラリと散らしてきゅうりを挟んだキューカンバーサンド。これにスペアミントを入れたセイロンティーを合わせます。爽やかで、静かな朝のリセットタイムにぴったりです」(桑折さん)

イギリスの伝統的なキューカンバーサンド(きゅうりのサンドイッチ)を、キッチンガーデンのハーブで軽やかに。ディルは魚料理だけでなく、きゅうりや卵にも合う香りの万能選手。

LED水耕栽培では徒長しやすいので、光をしっかり当てて茎を太く育てましょう。ミントは繁殖力が強いので、プランターでの単独栽培がおすすめ。朝に摘みたての葉を紅茶に浮かべるだけで、香りがふわりと広がります。

Q2. 忙しい朝、桑折さんの“5分で完成”定番メニューは?

「大葉の醤油漬けを巻いたおにぎり。大葉が収穫できたら、必ず醤油に漬けておきます。もう一品は、焼きバラ海苔に出汁醤油をかけてお湯を注いだお吸い物に万能ねぎをパラリ。万能ねぎの根っこを水に差して伸びたところを何度か再生して使う“リボベジ”が、朝の小さな達成感なんです」(桑折さん)

香りと手軽さを両立する、桑折さん流“朝の時短ごはん”。大葉は水はけのよい土と、日当たりを好む植物です。摘心をすると脇芽が伸びて長く収穫できます。万能ねぎは根を残して水耕で再生できるリボベジの代表格。

水を入れたコップに差しておけば、1週間ほどで再び緑が伸びてきます。忙しい朝でも「自分で育てたひと手間」を感じられるメニューです。

Q3. 和朝食で“香りの背伸び”をするなら、キッチンガーデンで何を育てるといい?

「大葉がおすすめ。ほぐしたアジの干物と刻んだ大葉、白ごまと混ぜておにぎりにしたり、常備菜として大葉みそを作っておいたり、お弁当の彩りにしたりと何かと便利ですよ」(桑折さん)

大葉は和食の香りを引き立てる万能ハーブ。食欲をそそる清涼感と、防腐効果もあるためお弁当にも重宝します。

プランター栽培では株の間隔をあけ、蒸れを防ぐのがポイント。種からでも簡単に育ちますが、発芽後はしっかり光を当てて徒長を防ぎましょう。朝の食卓で“香りの背伸び”をしたいなら、まずは大葉栽培から始めてみて。

Q4. 寒い朝に食べたい、キッチンガーデンで作る温かい一皿は?

「なめこ汁や、しじみ汁に三つ葉を散らして。あるとないとでは大違い。この香りがあるだけで、体の芯からゆるやかに目が覚めます」(桑折さん)

三つ葉のやさしい香りは、味噌汁やお吸い物に添えるだけで“和のぬくもり”を感じさせます。寒い季節に三つ葉を栽培する場合は、室内のLED水耕栽培がおすすめ。

半日陰でも育つので、窓際での室内土耕栽培も可能です。発芽後は混み合った株を間引くと、ひと株ずつしっかりした香りに仕上がります。

Q5. 子どもがお手伝いしたくなる朝の演出は?

「スプラウトをはさみでカットして、サラダにトッピング。自分で収穫したスプラウトをのせると野菜ももりもり食べてくれます。卵料理が好きなら、トマトとちぎったバジル入りのスクランブルエッグをパンにのせて。一緒に作るのが楽しいですよ」(桑折さん)

スプラウトは発芽したての芽を食べるので、2〜3日で収穫できるスピード栽培。育てる喜びを子どもと共有しやすい植物です。

容器とキッチンペーパー、水さえあればOK。バジルは日当たりを好み、冷えに弱いので、室内の明るい窓辺が最適。摘芯を繰り返すと、葉が増えて香りも豊かになります。朝の光と香りに包まれて、親子の会話も自然と増えていきます。

キッチンガーデンの朝ご飯で、暮らしのリズムを整える

朝の空気に、摘みたての香りが混じるだけで、少し背筋が伸びそうな気がしませんか?

桑折さんに教わったキッチンガーデンの朝ごはんは、特別な調理法ではなく、「摘む」「散らす」「混ぜる」といった小さな手仕事の積み重ね

忙しい日常の中でも、香りのある植物をひとつそばに置くだけで、暮らしのリズムがやさしく整っていきます

ベランダでも、窓辺でも、カップひとつのスペースから始められるキッチンガーデン。明日の朝、お湯を沸かす時間に合わせて、小さな葉をひとつ摘んでみませんか。

その香りが、あなたの一日を少しやわらかく変えてくれるはずです。

馬渕信彦

編集・執筆業を中心に活動。和酒の魅力を伝えることをライフワークにしながら、アウトドア界隈にも頻繁に出没。地元・横浜で子どもたちと「みんなの畑」を再開墾し、「ツチる」を実践中。

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